おいしい水を作る天恵石 エッセイ集

10 水の味覚。  

 

今年の東京の夏は猛烈な暑さだ。気温30℃以上が普通になってしまった。こんな時、喫茶店は外出時の恰好の避暑シェルターになる。冷たい水を持ってウエートレスが注文をとりにくると、それだけで救われた気がする。

注文なんて、どうだっていい。ただただ冷たい水が何より美味い。こんな時の水を昔の人は「甘露」と表現したらしい。仏教用語で「生きかえる」と言う意味だそうだが、全くその通り、一杯の冷たい水で、生き返ったような気がする。

水は飲みたい時に飲む。これを「水分補給」なんて難しい言葉はいらない。炎天下を歩き、汗で流れ出た水分を補おうとする生存本能なのだから。

 

その飲み水だが、水道水から井戸水、ミネラル・ウォーターとさまざまある。

水道水でも地方に行けば、沢の水や湧き水を利用する簡易水道と呼ぶ、小規模の水道施設がある。利用者に聞いたのだが、豪雨が降れば砂や石の粒が混じる場合があるらしい。

または、湧き水だけを水道水として給水する地域もある。本来ならこの地域は蛇口からナチュラル・ミネラル・ウォーターが給水されるのだが、悲しい事に法律で決められた衛生加工をされ、その分味が落ちてしまうようだ。

私の独断的な考えだが、戦後、占領軍の指導で水道水の消毒をする水道法も、衛生環境の整った今、果たして必要なのだろうか?私は疑問を感じている。

私は、約30年前から気学の実践で、月の恵方方位の湧き水を採りに行くようにしている。

名水百選に選ばれる湧き水もあれば、各地の一宮の御神水や農家の井戸水を貰ってくる時もある。「これで名水?」と疑いたくなる味の湧き水もあれば、お社の裏山からいかにもご利益がありそうに滾々と湧き出る御神水もある。だが、湧き水の脇に「煮沸して飲む事」などと、注意書きの立て札が立てられ、興味を削ぐことはなはだしい。

こんな警告を出すのなら、「○年○月に、この湧き水の水質検査をしたところ、○○ppmの大腸菌が検出されました」など、具体的な掲示が欲しいと思う。

人気のある湧き水の汲み場には、こんな警告なんて糞食らえと、いつ行っても数十台の車が列を作り、大量に汲む人がいるが、恐らく営業用に湧き水を使っているのだと推測する。

 

美味しい水とは、微量の元素のバランスや磁気で、味覚が変わるものだ。

それは理解しているが、天惠石を扱うようになってからは、現在の水質の検査方法では検出できない何かも水には含まれていると考えるのが妥当だと考えるようになった。それが何か?と問われても「何か」としか答えられないが・・・・。

水の味覚とは、科学的に計測した含有微量元素の数や量では判断できない何かが有って、科学的データより勝る、人間の本能の微妙な感覚が、味覚を左右するのだと思う。

 

私の持つ水の味覚の基準は、普段飲み慣れている水道水を天惠石を入れたタンクに溜めた常温の水である。この飲み慣れた水を基に、舌の上で他の水の差を考える。

天惠石を売る仕事をする以上、当然ミネラル・ウォーターにも興味があるから、珍しい外国産の水を売っていたら買ってきて貰うようにしている。そして同じ条件にして飲み比べてみる。すると高価な水なのに、ヘナヘナと頼りない柔らかい水だったり、ゴックンと飲むのに苦労するような硬度の高い水だったり、水にも産地の特徴があってなかなか奥が深いものだ。

 

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